AIが示す少子化対策

2019/6/6

NHKスペシャル「AIに聞いてみた どうすんのよニッポン」第4回「超未婚社会」をご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。この番組ではNHKが独自に開発した人工知能「AIひろし」が、日本が直面する課題の解決策を探るというものです。

いま日本の婚姻率は過去最低を記録し、男性の4人に1人、女性の7人に1人は生涯独身という、「超未婚社会」と呼ぶべき状況となりました。少子化の原因の9割が婚姻率の低下にあるという研究も発表されています。これだけの未婚社会となった理由は何なのか。男性の収入の不安定化や女性の社会進出などが要因とされています。

 

将来の健康への不安(不健康)が結婚への近道?

番組ではまず、AIがはじき出した「結婚に至った人」の多くがアンケートに答えた回答のうち、「健康状態に不満」、「仕事のストレスあり」、「暴飲暴食しがち」、「疲れを感じる」等、「不健康」=将来の健康への不安というキーワードに注目しました。これら不健康であることが、なぜ結婚に至った要因となったのでしょうか。

沖縄県では、昭和55年以降下がり続けていた婚姻率は、平成2年に底を打ち、以降は多少の上下はあるものの、上昇し続けています。例えばこの上昇が県民の将来の健康への不安と関連があるとすれば、AIが導き出した結果もあながち嘘ではないということになります。

調べてみると平成2年には、沖縄中に衝撃が走ったあるニュースがありました。婚姻率上昇のきっかけとなったこの年、それまで全国1位だった沖縄の男性の平均寿命がいきなり首位から陥落し、その後どんどん下がり続けたというのです。これに呼応するように、若中年層の死亡率も全国平均と比べ高くなっていきました。これを問題視した沖縄では若中年世代に対し、自分たちが不健康だという危機感を持ってもらうために、テレビCMまでを使い、県をあげた大々的な健康促進運動を展開したのです。

こうした運動によって沖縄の、ちょうど結婚適齢期の若者は、実は自分たちは意外と不健康であるという認識が定着し、これに対する将来の健康不安意識の高まりと、沖縄県の婚姻率の回復が同期しているのです。

AIが導き出した「不健康」=将来への健康不安というキーワードは、婚姻率とつながりがありそうだということがわかりました。しかしAIの言う「不健康」は直接婚姻との関係を表しておらず、これに伴う将来への健康不安(「危機意識」)が婚姻率の上昇につながったのではないかと番組では予測しています。

その後、将来への健康不安意識が高まった沖縄では、健康に対する積極的な取り組みが始まり、会社で生活習慣病予防検診を導入した企業がこの15年で3倍に増えました※。導入した企業では、取り組みを始めた直後は結婚した人が0の年も多かったのに、平成29年以降は毎年4人となるなど、結婚する人が着実に増えています。健康診断や保健指導が婚姻率の上昇に結び付くとすれば、少子化に対する政策としても一石二鳥となるかも知れません。

AIの利用はこのように、人間では思いもよらない未婚化の原因を教えてくれそうです。しかしながら、これを生かすためには「不健康」の裏側にある将来への健康不安(「危機意識」)に着目したように、我々は示されたデータを間違わないように解釈する必要があるのです。結婚相手紹介サービス業の中では、AIの利用の可能性として、マッチングだけがフォーカスされがちですが、日本ブライダル連盟では少子化対策につながる様々なAI利用の可能性を模索しています。

※平成15年、4,500事業所、平成29年、12,000事業所

 

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