東京都が提供するマッチングアプリは婚姻数増加の救世主になるか

2024/3/13

結婚相談所加盟連盟として多くの結婚相談所の開業サポートをさせて頂いておりますBIUです。

東京都が提供するマッチングサービスの利用が開始されました。
正式名称は『TOKYOふたりSTORY AIマッチングシステム』で、まずはTOKYOふたりSTORY交流イベントの参加者に向けて限定的にサービスを開始し、機能面などを改善して来年度以降、より満足度の高いサービスを提供する予定とのことです。

まず、お話しておかなくてはならないのは、当初東京都がマッチング「アプリ」をリリースするとの触れ込みであったため、われわれ結婚相談所に対しても、既存のアプリベンダーに対しても大きな驚きをもって迎えられましたが、結果的には「モバイルアプリ」ではなく、webをベースとした「webアプリ」だったということです。
従って、現在BIUや多くのアプリベンダーが提供しているような、スマートフォンのUIに特化したものではなく、既によく見かけるマッチングサイトと同様程度の使い勝手になるものと予想しています。
結婚相談所連盟の中にもwebベースのシステムをあたかもモバイルアプリのように扱っているものがあるので、本来のアプリとwebアプリとの違いは正しく認識しておく必要があろうかと思います。
webアプリに対し、モバイルアプリによるサービスの提供では、下記のような優位性があります。

1.サービスへアクセスする手間がほとんどありません。
アプリでは、ユーザーはブラウザを介さずに直接サービスにアクセスできます。
単純に手間が削減されるため、ネットクラブへのアクセスが圧倒的に楽になります。
またアプリはホーム画面にアイコンを設置しており、1回のタップでアクセスできるため、webに比べて操作が簡単で高い利便性を誇ります。

2.アクセス数やエンゲージメントが向上します。
アプリはwebに比べ、ユーザーにとって直感的で使いやすいため、そのほとんどの機能は使い方に精通していなくてもサービスを利用することができます。
このためwebによるサービスよりエンゲージメント(ユーザーとサービスなどとの関係性の強さ)が向上し、これに伴いアクセス数も向上します。

3.プッシュ通知によるメッセージの送信が可能です。
アプリはプッシュ通知を活用して、ユーザーに新着情報や新しいコンテンツの実装をリマインドできます。
プッシュ通知はユーザーの関心を引き付け、サービスへの再訪問を促進します。

これらのように、アプリでのサービス提供は、サービスへのアクセスが増加したり、サービスとの関係性の強さが強靭になります。
これは単純にユーザーのネットクラブへの訪問とつながりの強さの増加を意味し、お見合いや成婚数の増加に直結します。

東京都のwebアプリに話を戻すと、利用者は18歳以上で都内に在住、または在勤・在学の男女の利用が可能となる予定で、運営は民間企業に委託されるとのことです。
現在明らかになっている民間のマッチングサイトやアプリとの大きな違いはその安全性です。
東京都のwebアプリでは、民間では求められないことが多い独身証明書の提出を義務付けられ、本籍地の役所に行くなど取得に手間がかかる独身証明書を活用することによって、既婚者や詐欺目的などの利用を減らすことが大きなメリットとされています。

複数インストールされることの多いマッチングアプリの性質上、既存の業者からは間口が広がることを歓迎する声が聞こえる一方、これまでwebサイトやアプリのサービスでは実現することが難しかった安全性を、都が担保するシステムの提供は、特に結婚相談所にとっては民業圧迫に繋がりかねず、動向を注視してゆく必要がありそうです。

その上で一見、webサイトやアプリ婚活の利便性と、弱点であった安全性の担保を兼ねそろえたこの東京都のサービスが、婚姻減少に待ったをかける救世主になるかと言えば、必ずしもそうではないと考えます。

昨今、マッチングアプリの急激な普及によって確かに初婚割合は増えています。
しかしながら婚姻数は2005年以降、ずっと右肩下がりであることはご存じのとおりです。
マッチングアプリ大手の「ペアーズ」は日本国内で2012年にサービスが開始されました。
当初は一部の利用者によって使われていたものの、徐々に普及し始め、2014年頃から急速に人気を集めるようになり、2022年には2,000万人(累計)の会員がいると言われています。
にも関わらず初婚割合は下降の一途をたどり続けており、結局のところアプリ利用による初婚者数の増加というのは、全体の減少傾向の中でその割合を増やしているだけのことなのです。

婚活人口の増加につながりそうな公共サービスの新設は、結婚相手紹介サービス業全体としては歓迎するべきことかもしれませんが、本来の目的である婚姻数の増加や、この延長線上にある少子高齢化対策は、婚活者任せでどうにかなるものではなく、サポートが必要であることに早く気が付かねばなりません。
今回の都の提供するサービスは結局のところ、これまで民間が提供しているものと同様、一部の恋愛強者だけが喜ぶ、これまでより少しだけ安全性の高い便利なツールとして消費されるにすぎないのではないでしょうか。
本来抜本的な対策として考慮しなくてはならないのは、アプリ利用程度ではお相手探しがままならない恋愛弱者を、結婚相談所の提供するようなサポートによって、どう強者に変えてゆくかということではないかと考えます。

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