結婚相談所とAI

2017/3/18

中国には2,000万回近くも愛を告白された女性がいます。
マイクロソフトの中国拠点が開発した人工知能(AI)「小冰」(シャオアイス)です。約9,000万人がスマートフォンで「小冰」と会話し、友情を感じたり、恋愛感情を持ったりしていると言われています。

かつて、AIを搭載したロボットの例として、ソニーの犬型ロボットAIBOがありました。AIBOのAIは飼い主の周りの環境から学習し、飼い主に合わせた暮らしを送るようになります。ボールを投げてやれば追いかけ、繰り返すことによって行動範囲が広くなります。また褒めれば期待に応えようと一生懸命練習し、ボール遊びが得意なAIBOに成長します。

最近のAIの成長には目を見張るものがあります。囲碁の世界では2016年に、韓国のプロ棋士イ・セドル氏が、米グーグルの開発した囲碁AI「AlphaGo」(アルファ碁)と対戦したものの、1勝4敗で「AlphaGo」が圧勝しました。チェスや将棋に比べても手順が複雑な囲碁は、人間の最後の砦と言われてきましたが、囲碁に関するAIの棋力は既に人類のトッププロを超えようとしています。もはやAIBO時代のAIとは比べ物になりません。

人間の複雑な恋愛感情や好みは今のところ、いかに成長著しいAIと言えども理解できるものではありません。しかしこの急激なAIの成長速度なら、いずれ本当の人間同士のように「心」を通わせることができるようになり、プログラムと感情の境目がなくなって、小冰に友情や恋愛感情を持もつ若者が、スマートフォンやロボットと結婚したいと真剣に考え始めることもあるかも知れません。

進化を続けるAIは、スマートフォンの画面から帰ってくる会話にはより人間味が感じられ、既読になってもなかなか返信してくれないリアルな異性より優しくて、頼りになるかもしれません。でも我々は相手がプログラムであることを忘れることなく、恋愛も結婚も現実にこだわり続けていく必要があります。AIは人間との関係のさまざまな場面で人間を超えることがあっても、人間そのものになることは絶対にないのです。

婚活支援という枠組みの中でも近い将来、必ずAIとの共存、即ちお相手探しの段階で、AIの活用を考える必要が出てくることは間違いないと思います。ただ、どれだけAIが発達したとしても、最後に人と人を繋げるのは、やはり「人」なんだろうと思います。そんな想いを持ちながら、仲人婚活におけるAIの活用方法を検討し始めています。最後は「人」であることをより確固なものとする為に・・・。